page icon

会計業界から見るせどり/転売/フリーランス

昨今の副業ブームを背景に、せどりや転売を事業として行う方が増加し、あわせて確定申告を行うフリーランス全体が急増しています。
はじめての確定申告に戸惑い、専門家に依頼しようとする方も多く見受けられますが、税理士などの専門家に対する誤解や思い込みを持っているケースが少なくありません。
厄介な依頼者と見なされないためにも、「せどり事業者やフリーランスが税理士からどのように見られているのか」を客観的な視点から確認していきましょう。

目次

税理士は特にせどり事業者を忌避している

 
まず、せどり事業者やフリーランスの帳簿作成代行を積極的に受付する税理士はいません。
特にせどり事業者は、サイト運営側のポイント制度の改変や、利用者側の手法(ポイントを加味して複数の決済手段を挟む等)により、年々その取引内容が複雑化しています。
こうした背景は、他の業種のフリーランスにも共通する課題であり、個人事業でありながら「一般的な中小企業の決算」と比較しても、帳簿の作成や会計処理が格段に難しくなっています。
💡
せどり事業者は、一般的な会計事務所のクライアントである法人や個人事業主と比較しても、取引量の多さやクレジットカードの多用、プライベートとの境界の曖昧さ、資金の流れの不明瞭さから、税理士に敬遠される傾向があります。
これらの要素は、他の一部フリーランスにも共通しており、会計処理の負担を大きくしています。

専門家とのギャップ

では、「せどり事業者やフリーランス」と「税理士/会計事務所」とではどのような認識の差があるのでしょうか。

せどり事業者やフリーランスの税理士依頼の認識

P O I N T

  • 取引ボリュームは多いが、とにかく安くして欲しい
  • 簿記の知識がないから帳簿作成の代行も依頼したい
  • 確定申告のやり方もわからないから依頼したい
  • 節税・補助金・助成金などの情報を税理士側から積極的に提案して欲しい
  • とにかくよくわからないから「丸投げ」で事業に集中したい
  • お金を払っているから帳簿内容に間違いは許されない
  • 1円単位で帳簿内容が間違っていたら税務的に心配で、都度確認したい
  • ただ売り買いしているだけなので複雑な会計処理は無く、簡単に帳簿作成できるはずだ
  • 自分の提出資料に落ち度があったとしても、プロならそれを指摘すべきだ
  • e-Taxやクラウド会計で自動化されてきているからミスなくスムーズにできるはずだ
会計業界の常識を知らないスタートアップなどは、国家資格である税理士との契約について「消費者」として考えている傾向が強いため、このような要求をされることが多いです。
「経理の外注化」をしたいのであれば、今までの消費者感覚ではなく、対等な立場でお互いにWin-Winに考えなければいけません。
参入障壁の低さによる影響
特にせどりや転売を行う事業者は、副業など誰でも気軽に行うことが出来る側面から、残念ながら事業者としての認識が乏しい傾向が強いという特徴があります。
はじめの取引を行った時点であなたは既に「事業者」です。
「初めてだから知らなかった」「想像と違っていた」という言い訳は経営者・事業主が行うビジネスには通用しません。
また「開業届を出してからが事業で確定申告が必要」という、大きな誤解をしている方も多いのが現状です。初めて仕入などを行った時点であなたは既に「事業者」です。

税理士目線でのせどり事業者やフリーランス

P O I N T

  • 他の顧客と比較してせどり事業者は取引が膨大で手に負えず、顧客の中で質が低い
  • 1%のメリットを追うため、多くの取引がプライベート利用と混ざっている
  • 決済が複雑なことにより適切な資料提出がされず、後からの追加提出が多々ある
  • 作成する帳簿の量が膨大な反面で利益率が極めて低く、専門家費用ばかり気にしている
  • 事務所の人件費やコストと報酬が見合わないため依頼を引き受けるメリットが無い
  • 複数アカウント(規約違反行為)などが当たり前で、倫理観やモラルが低い傾向
  • 数ヶ月にわたり音信不通となり、資料提出期限を過ぎて突然連絡が来る
  • SNSなどの情報には敏感なため、実践しない割に情報ばかりを要求される
  • 利益が出ていない割に効果の薄い無駄な節税提案などを求められる
  • 自分は高単価の優良顧客だと大きな勘違いをしている
  • 何かトラブルがあればすぐSNSやコミュニティで晒されるので関わりたくない
基本的にスタートアップの事業者というものは、業界の常識を知らないものですが、せどり事業者についてはその性質から税理士からは特に忌み嫌われる存在となっています。
せどり事業者や一部フリーランスの優先度
裏話ではありますが、せどり事業者や会計処理が煩雑な一部のフリーランスは、質が悪いと見なされ、他の顧客よりも優先度を下げられているケースがあります。
「税理士から粗雑な扱いを受けた」という声もありますが、税理士が取り扱う顧客全体を見渡したうえで、「手間に対してメリットが少ない」と判断された結果と考えられます。
同じ1顧客であれば、取引がシンプルで工数のかからない事業者を優先し、離脱を防ぐために丁寧に対応するのは、ビジネスの合理的な判断と言えるでしょう。
🔥
上記のような認識ギャップにより、「せどり・転売を行っている事業者」や「会計処理が複雑な一部のフリーランス」の対応は行わないと明言する税理士・会計士も少なくありません。

カスタマーハラスメントへの意識の高まり

近年は「お客様は神様」という固定概念からの脱却が叫ばれるようになっています。
あらゆる業界において、カスタマーハラスメント(カスハラ)への毅然とした対応がむしろ評価される風潮となっております。

会計業界でのカスハラ

税理士は特に経営者・事業主などを相手にしてきたことから、理不尽なカスハラに苦しんできた業界とも言えるでしょう。
昨今は対応する従業員を守ることを優先する事務所も多く、「不当な要求」や「過度に低い報酬しか払わない顧客」に対しては厳しい対応をとる事務所も珍しくありません。

スマカクでの事例

過去にスマカクをご利用いただいたユーザー様の中には、ユーザー様による誤解が原因で、SNS上に風評被害が広がり、契約を終了した事例がありました。
その後、別の税理士と契約されたものの再び関係がうまくいかず、スマカクの再利用を希望されましたが、以前のトラブルを踏まえ、再契約はお断りしました
💫
「自分はお客様だから優遇されて当然」といった考えに固執していると、周囲からの信頼を失い、結果的にどの専門家からもサポートを受けられなくなる可能性があります。
スマカクでは、せどり・副業をはじめとしたフリーランス事業者様の受け入れを行っていますが、事業者として対等な関係を築けない場合には、やむを得ず契約をお断りすることがあります。

途中解約を行わせていただくケース

スマカクでは、ご利用前に弊社が対応可能なサポート範囲をあらかじめご確認いただいております。
その範囲を大きく超える要求や、SNS等での風評被害が確認された場合には、やむを得ずご契約を解約させていただくことがありますので、あらかじめご了承ください。

税理士はボランティアではない

割に合わないと判断されれば、依頼を断るのは専門家として当然の対応です。
「税理士は困っている人を必ず救うべきだ」「確定申告難民を受け入れて当然」といった先入観が、現状のミスマッチを引き起こしている一因と考えられます。
少々厳しい内容ではありますが、こうした認識のずれを埋めるには、相手の立場を理解しようとする姿勢が、事業者として大切な視点となります。
税理士の本音ポストの一部(▶をタップして開閉)
💬
X(旧Twitter)などのSNSでは、匿名・実名を問わず、税理士アカウントによる辛辣な投稿が目立ちますが、特にせどりや副業を行う事業者に対して批判的な内容が多く見受けられます。
好意的なコメントがほとんど見られない現状から、税理士業界における認識は、残念ながら一定の方向で一致していると考えられます。
経理業務を外部に委託する以上、専門家との円滑なコミュニケーションは不可欠です。特にせどり事業者は会計業界でも独特の立ち位置にあり、フリーランス全体にも共通する課題を含んでいます。
事前にその評価や実情を知っておくことは、スムーズな連携のための大きな安心材料となるでしょう。

税理士に依頼することの実態

税理士に依頼しているからといって、「税理士本人が帳簿を作成しているから安心」というのは必ずしも正しくありません。
多くの会計事務所・税理士法人では、帳簿作成業務は無資格のスタッフが担当しており、特に事務所の規模が大きくなるほど、税理士が直接作成・入力を行うことはまずありません。これは、スマカクの運営スタッフが過去に在籍していた会計事務所・税理士法人でも実際に見られた実情です。
さらに、仮に税理士本人が帳簿の作成を行っていたとしても、せどり特有の取引構造を正しく理解したうえで処理できるケースは稀であるのが、会計業界の現状です。
🔥
よくある勘違い
  • 「税理士に依頼すれば丸投げできる」という認識は誤解です。せどり特有の複雑かつ煩雑な資料の提出は、どの会計事務所に依頼したとしても、事業者自身が対応せざるを得ない作業です。
  • 「クラウド会計を使えば、自動で正確に仕訳される」というイメージも実態とは異なります。実際には自動仕訳後に人の手で内容を確認・修正する必要があり、最終的には手作業での対応が不可欠です。
  • 「税理士に頼めば税金が減る」「税理士は節税のために存在する」といった誤った認識から、過去に自分で申告していたときより税額が増えたことに不満を感じる方もいますが、これはそもそも以前の申告内容が誤っていたというケースが多く見られます。税理士の本来の役割は、「適正な税額を計算すること」にあります。
  • 仕訳ミスがあったことで税理士の技量を疑う方もいますが、人の手による処理である以上、完全なミスを0にすることを求めるのは現実的ではありません。加えて、実務上の帳簿作成業務は税理士ではないことが殆どです。

スマカク利用と税理士依頼の違い

「スマカク for EC/ストア」のサービスは「確定申告にまつわる9割をサポートして、残りの1割の申告部分はご自身で行っていただく」というものです。
帳簿作成代行込みの税理士依頼とスマカクの違いは、最後の”確定申告部分”を自分でやるかどうかということになります。
また、税理士にとって、せどり事業者や会計処理が複雑な一部のフリーランスの帳簿作成代行は、他の顧客と比べて手間が多く割に合わないと判断されがちです。そのため、帳簿作成代行を依頼する場合には、通常よりも高額な費用が請求されるケースが少なくありません。
詳しくはこちらのページで解説しています。
💡
税理士に対する期待値を上げすぎない
税理士依頼の実態を知らないと、税理士に対して誤った理想を抱きやすくなります。
税理士や会計事務所に相談したとしても、そもそもせどりや転売、フリーランスなどの知識や経験があるところは非常にレアケースです。

【for EC/ストア】スマカク提携の税理士依頼

🔗
 ※スマカクユーザーのみ閲覧可能
弊社提携の税理士を通じて、帳簿作成の代行だけでなく「確定申告依頼」や「税務顧問契約」が可能となっています。
料金表や詳細は上記のページよりご確認いただけます。
スマカクの活動に賛同いただいている提携税理士が、スマカクユーザー限定で業界最安値クラスの『50,000円~(※2024年度参考)』確定申告の依頼が可能です。
これらの金額はスマカクをご利用期間中のみ適用される特別料金となっています。
※for フリーランス/ひとり法人 は標準で申告依頼が含まれています
☝🏼
個人事業主の確定申告依頼の相場は『10~15万円』程度となります。これらの価格が実現できるのは、会計のプロであるスマカクが帳簿の作成を行っているからであり、素人が作成したものでは不可能です。